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ミニミニクイズ H26/9/16 爪白癬の外用薬

旦那さんとツマ子さんの親せきに当たる爪切(つめきり)さん(70才)は以前から爪白癬と診断されています。
今日は皮膚科の帰りに旦那家に立ち寄ってこんな話をしています。

旦那さん:爪切の叔父さん、皮膚科で診て貰ったというけれど、爪の具合はどうですか?

爪切さん:大分前から、足の爪がおかしかったのに、つい、そのままにしていたのだけれど、、小さな孫と同居するようになって、感染させるのが嫌で皮膚科を受診して飲み薬で治療を始めたんだけどね。

ツマ子さん:何でも、爪白癬には飲み薬が効くと聞いていましたがいかがですか?

爪切さん:効くことは効いていたのだけれど、肝臓の具合がおかしくなって飲み薬は中止になったんだよ。

旦那さん:それじゃあ、今度は治療はどうするんですか?

爪切さん:今日、皮膚科の先生から、爪白癬に効果を持つ塗薬があると言われて出してもらったんだよ。

ツマ子さん:確かに爪白癬の薬は副作用や飲み合わせに注意しなくてはいけないと聞いています。でも、塗薬で治るのでしょうか?

旦那さん:それに、副作用や薬の飲み合わせはどうなのかなあ?

爪切さんの処方
クレナフィン爪外用液10%  4ml 1本
1日1回、幹部のみ塗布

Q1:クレナフィンの副作用について以下の記載の内正しいものを選択して下さい。
①アゾール系抗真菌薬イトリゾールとほぼ同じ副作用に注意
②ポリエン系抗真菌薬アムホテリシンBと同じ副作用に注意
③キャンデイン系抗真菌薬アンビゾームと同じ副作用に注意
④現在のところは局所性の副作用のみ

Q2:クレナフィンの相互作用はについて正しい記載を選択して下さい。
①イトリゾールとほぼ同じ相互作用
②アムホテリシンBとほぼ同じ副作用
③アンビゾームとほぼ同じ相互作用
④現在のところ、特に記載なし

A1:④  A2:④

文献;渡辺 晋一ほか;日本皮膚学会誌、119(5):851-862.2009
Elewski. et al.:J Am Acad Dermatol.
68(4):600-608.2013

解説:真菌所謂カビによって皮膚に起きる感染症を皮膚真菌症と呼ぶ。白癬は白癬菌によって生じる皮膚真菌症の1種である。

白癬菌はケラチンを栄養とする為、通常はケラチンの豊富な表皮の角質層や爪、毛包内角質や毛に感染し、感染部位に病変を起こす。

足白癬の患者さんは潜在的には日本で2500万人とも言われ、罹患率は非常に高い。爪白癬の患者さんも日本で1200万人と言われており、これも罹患率が高い。

爪白癬は殆どの場合、足白癬が足の爪に感染して起こり、罹患部位としては足の爪が多い。

しかしながら手の爪に起こる事もあり、どちらも難治性の場合が多くい。

爪切さんの心配しているように家族間の感染も多く、足ふきマット等家族が共有に使用するものは注意する。

抗真菌剤には、ポリエン系、アゾール系、キャンデイン系等の多くの種類があるが、

従来、抗真菌治療薬として爪白癬に承認されていたものは、経口真菌剤のみであり、特にアゾール系抗真菌薬の内服薬(イトリコナゾール等)が用いられてきた。軟膏、クリーム剤などの外用剤は補助的に使用されているにすぎなかった。

しかし、原則は経口剤であるが、経口抗真菌薬には肝障害等の副作用も多く見られ、且つ、アゾール系抗真菌薬は肝臓での代謝酵素の関係から相互作用も多い。

今回処方されたクレナフィン外用液10%は科研製薬で創案されたトリアゾール系化合物エフィコナゾールを10%含有する、日本では初めての承認となる外用抗真菌剤である。 エフィコナゾールの抗真菌作用機序は、真菌細胞膜のエルゴステロール生合成経路上におけるラノステロールの14位メチル基の脱メチル化反応を阻害することである。爪の表面(爪甲部)での透過性により、爪床にまで達し、爪甲部の下部や爪床の白癬菌の細胞内に移行し、エフィコナゾールが小胞体の酵素に結合し不活化してエルゴステロールの合成を阻害し、供給を遮断する事で細胞膜形成障害により真菌が死滅するとされている。

爪白癬治療薬で気になる、副作用、相互作用はエフィコナゾールの外用剤の場合は添付文書上に特に記載が無い。

使用方法が爪白癬に罹患した爪だけに限定して塗布するため、血中に移行する事が少ないとされており、それだけに事前に爪からの白癬菌の培養検査が大切である。

但し妊婦、又は妊娠の可能性のある婦人、又、授乳婦、小児への安全性価格率していないとされている。

尚、この薬剤を使用するうえでの注意点として、以下があげられている。

○爪白癬の原因菌は爪甲、その下の皮膚に存在するため、この部位に薬剤がいきわたる様に皮膚との境界部も含め爪全体に十分に塗布し、周囲の皮膚に付着した薬剤は拭き取る
(刷毛と一体型のボトルで、爪全体に薬液が塗広げられる)

○適用部位に傷口がある場合は注意して使用する

○必要に応じ、やすりや爪切り等で爪の手入れは行うが、ペデイキュア等、爪に対する化粧は行わない

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