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会報123号の「昭薬ミニミニクイズ」

骨粗鬆症の注射薬とインスリン注射薬の違い

或る日、檀那さんとツマ子さん夫婦の元へ、友人の板井さんが訪ねてきました。
板井さんは2型糖尿病ですが、現在はインスリン注射で治療をしています。
今日は板井さんの奥さんの折枝さんの事が話題になりました。
折枝さんは、骨粗鬆症と言われて骨折を心配しています。

板井さん:折枝は今度、骨粗鬆症注射にフォルテオという注射薬を打つようになったんですよ。

檀那さん:その注射は病院で打ってもらうの?

板井さん:それが、僕のインスリン注射と同じで1日1回の自己注射だというんだよ。

ツマ子さん:折枝さんは、板井さんのインスリン注射をみているから、あまり抵抗は無いのかもしれないわね。

檀那さん:その注射はインスリンと同じ様に扱うのだろう?

ツマ子さん:同じ扱いと違う扱い方もあると言われているそうだよ。

檀那さん:扱い方のどこが違うのかね?

クイズ;骨粗鬆症治療薬のテリパラチド製剤のフォルテオ皮下注とインスリン注射薬の違いについての記載で正しいのは以下のどれですか?
①注射部位がインスリン注射は腹部大腿部、フォルテオ注は主に上半身
②使用後にインスリン注射は常温、フォルテオ注は冷蔵庫で保管
③インスリンは使用期間の制限は無いが、フォルテオ注は24ケ月迄
④インスリン注射は28日間使用して残った注射液は廃棄するがフォルテオ注は最後まで使用可能

【解答】
②、③

解説:
骨粗鬆症は全身の骨強度の低下、所謂骨量の減少と骨質の劣化により、骨がもろくなり、骨折し易くなる病期である。健康な骨は古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)という新陳代謝で均衡がとれている。
骨粗鬆症になると背骨の骨が潰れて腰や背中が痛んで丸くなったり、身長が縮まると言った状態になる。特に女性では閉経後に女性ホルモンが低下してバランスが崩れ、骨粗鬆症になり易い。特に大腿骨の骨折は運動機能、又、内臓機能が低下して、要介護状態の悪化、寝たきり状態を招くこともある。
骨粗鬆症の治療は食事・運動等の生活習慣の改善、薬剤療法等がある。
薬剤は骨吸収抑制薬、骨形成促進薬、体内のカルシウム量の増加薬等がある。
今回、折枝さんに処方されているフォルテオ注は副甲状腺ホルモン製剤のテリパラチドの注射薬であ、ビスフォスフォネート製剤等の骨吸収抑制薬ではなく、抗体製剤ロモソズマブ・イベニテと共にイ骨形成促進薬である。
テリパラチドの注射薬には1日1回20μg皮下注剤のフォルテオ、28.2㎍を1日1回、週に2回注射するテリボンがある。テリパラチドは長期投与で骨腫瘍性病変の発生頻度が上昇する為、24ケ月に投与期間が制限されている。
フォルテオ注は希釈・溶解はせず、腹部、大腿部の比かに投与する。注射部位は少しずつ、ずらして注射する。
又1本で28日間使用可能であるが、28日以上経過したら薬液が残っていても廃棄する。
又、使用後は注射針を取り外して冷蔵庫(2~8℃)で保管するがインスリン注射常温で良い。
但し、凍結は避けなければならない。
自己注射液は始めは抵抗があるが、骨粗鬆症の治療にはテリパラチド製剤は有効であると患者に理解してもらう事も大切である。

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