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ミニミニクイズ リレンザ

風邪、やインフルエンザの季節です。今年は中国からの新型コロナウイルスの感染で世の中ガ落ち着きません。旦那さんの家でも奥さんのツマ子さんと心配をしていました。
そこへ、友人の会社員の関込(せきこみ)さんが訪ねてきてこんな話になりました。
関込さんは風邪で内科の医師を受診したというのです。

旦那さん:君はインフルエンザだと聞いていたけれど、検査結果は違ったらしいね。ホッとしたね。

ツマ子さん:仕事の上で無理を重ねていたせいで、熱が38℃近くまで上がって、てっきりインフルエンザと思って会社の近所の内科の先生に診てもらったと奥さんからお聞きしましたよ。

関込さん:私はインフルエンザの治療薬を使う時には注意しなくてはならないんです。
妻がリレンザという薬がよく効いていたので自分も使いたいのですが、アレルギーの関係で注意するように言われました。

ツマ子さん:私も以前、インフルエンザと言われた時にリレンザと言うお薬は出して貰ったことがあるけ別になんともなかったんだけど。

旦那さん:食べ物のアレルギーと薬も関係があるのかね?私もインフルエンザの治療薬はタミフルというのを飲んだ事があるがなんともなかったけどね。

関込さん:今回はインフルエンザではないので、処方はフロモックス錠250mg という抗生物質とトランサミン250mgという薬でした。

Q1;関込さんのアレルギーは以下のどれと考えられますか?
1. 卵(卵白)アレルギー
2. 牛乳アレルギー
3. 小麦アレルギー

Q2;以下のインフルエンザ治療薬、予防用製剤の中で関込さんがアレルギーの関係で注意しなくてはならないのはどれですか?
1. タミフルカプセル
2. イナビル吸入
3. インフルエンザワクチン
4. 上記全部

A1:2、A2:2

文献:柏木 征三郎 感染症学雑誌 74:1062 2000
グラクソスミスクライン 使用上の注意改訂のお知らせ

解説:2015年8月にグラクソスミスクライン社より「使用上に注意改訂のおしらせ」が配布された。これはインフルエンザ治療薬のザナミビル製剤リレンザについての通知である。

その文書中、慎重投与、重要な基本的注意の項の追加として、「乳製品に対して過敏症のある患者への注意喚起」が記載されている。その他の改訂箇所として、副作用(その他の副作用)に低体温を追加、適用上の注意の改訂に「プラセボによるデモンストレーション」に関する記載の削除等が挙げられている。

乳糖に関する改訂前の記載は特になかったが、改定後慎重投与には「乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者」が追加された。又、重要な基本的注意として、「本剤は夾雑物として乳蛋白を含む、乳蛋白質を含む乳糖水和物を使用しており、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際にアナフィラキシーが現れたとの報告があるので、投与に際しては十分に注意する事」という記載が追加されている。

リレンザの添加物として使用されている乳糖に含まれた夾雑物としての乳蛋白が乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に使用した際に、リレンザとの因果関係が否定できないアナフィラキシーが出現したという報告を受けて、今回、注意喚起の意味で追加記載されたものと考えられる。

乳糖(ラクトース)は本来、二糖類の糖であるが、牛乳等の乳製品から主に作られる過程において、僅かに乳由来の蛋白質が含まれることがある。その為、乳製品にアレルギーを持つ人は注意を要したほうが良いと言われている。

関込さんの場合、こうした薬剤によるアレルギー反応が出たわけではないが、以前飲食物の乳製品でのアレルギー反応の既往があるので、リレンザの投与は慎重にと注意されたと考えられる。

インフルエンザ治療薬は内服薬のオセルタミピルリン酸塩製剤(タミフル、タミフルドライシロップ)が導入されて以来、外用薬のザナミビル水和物(リレンザ)、ラ二ナミビル億炭酸エステル(イナビル吸入)等が発売されている。

タミフルはカプセル、ドライシロップ共にトウモロコシデンプン等が添加物となっているが、イナビル吸入は乳糖が添加物として含有されている。

吸入薬として使用する場合、噴霧時に乳糖の周りに主成分の薬剤(ザナミビル、ラニナビル等)がくっついて組織に移行しやすく工夫されているとも考えられる。(勿論、全部の外用薬ではなく、シンムビコート等には乳糖は添加されてはいない)
乳製品に過敏症既往歴のある人は禁忌ではないが、慎重に投与する為に、インフルエンザの治療を受ける時には必ず医師にその旨を話した方がいい。

今回処方されている、フロモックスはトウモロコシデンプン、白糖、タルク、マクロゴール等の添加物は含有されているが、乳糖は添加されていない。トランサミン錠もやはり、トウモロコシデンプン等が添加され、乳糖は含有されていない。

尚、インフルエンザワクチンは培養液に卵を使用しているが、特に乳製品は使用していない。

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