薬剤師研修認定制度 研修受講シール不正売買
すでに多くの同窓生の方々はお聞き及びのことと思いますが、認定薬剤師認証研修機関(プロバイダー)の発行する研修受講シール(単位シール)がメルカリなどのネットオークションサイトで出品され、中には結構高額な金額で取引されているとの噂も流れています。プロバイダーは薬剤師認定制度認証機構(CPC)により認証され単位を発行できる機関で、現在30機関あり平成塾もその1つです。単位シールの形や大きさ・掲載事項については各プロバイダーに任されています。単位シールの大きさや掲載事項について大多数のプロバイダーが集まって生涯学修について情報共有や将来に向けての話し合いが行われている認定薬剤師認証研修機関協議会(CAPEP)でも話題になり、研修手帳に貼る関係上最大限の大きさを規定しようということになっています。平成塾の単位シールには研修会の開催年月日や単位数が記載され、更に、演題などの詳細情報がQRコードで読み取れるように工夫しています。今回、流失したシールにはこのような研修会の詳細情報の記載はなく、年度・研修機関名と単位数が分かるのみの最低限の仕様となっています。厚労省もこの事態に危機感を露わにしました。本年3月1日づけで日本薬剤師会宛に「薬剤師研修認定制度の適切な運用について」という注意喚起を行い、さらに同月7日には全プロバーダーに対し、現状把握のためのアンケート調査を行い、12日にはアンケートへの御礼と共に不正が起きないような運営を求める強い要望がありました。不正シールがネットオークションに出される背景には、シールの管理が甘いということ以外に1単位90分という時間の拘束を嫌がる薬剤師がいることに起因しており、単位をお金で買えればこれに越したことはないという安直な考えが一部には横行していると推測できます。これらは「生涯学修」という本来の目的から外れるばかりでなく、「学ぶ」という姿勢を放棄することになる訳ですから、絶対にやってはいけないことです。研修に評価を取り入れようとする動きがますます盛んになると考えられますし、性善説に根ざした制度の限界も見えてきます。お金が絡むと何でもありの世界に入るのは世の常ですが、認定薬剤師の世界にも波及してきたことに驚きを隠せません。イタチごっこになるかも知れませんが、不正が行われないような制度の確立が急務です。一連の騒動を通じて、自らの首を絞める結果にならないよう、ひとりひとりが自覚を持ってしっかりと学ぶことが肝要であると感じました。