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会長短信

昭和薬科大学薬剤学研究室50周年記念事業に出席して

平成30年9月2日、東京ガーデンパレスにて標題の講演会・祝賀会が50周年記念事業と銘打って敢行されました。来賓として前学長西島正弘先生とともに招待して戴き、興味深いひと時を過ごすことが出来ました。色々と参考になる企画があり、紹介させて戴きます。

講演会では15分毎のリレー講演で、現研究室主宰者の宇都口直樹教授を筆頭に最近(6年制第2期)から昭和55年の卒業生までVideo 講演も含めて幅広い世代の7名の演者の登壇がありました。こう言った記念事業では15分という講演時間は珍しく、進行表を眺めた時はどうなるのかと気を揉みましたが、蓋を開けてみると15分という時間の中で無駄なく要点がまとめられており、どの講演もよく理解できました。指導の良さが垣間見られました。

祝賀会は松本光雄先生のご挨拶から始まりました。その中で同窓会特別会員となったことと同窓会報に特別会員第1号としての執筆依頼があり、次号(10月末発刊予定)に掲載予定であることが紹介されました。松本先生は常々、同窓会の活用を説かれており、私も頷くところが多くありましたが、今回の講演会・祝賀会で言葉だけではなく実行されていることを実感いたしました。

以前、同窓会には3つの役割があると書きました(2018年2月28日)[①旧交を温め、親睦を図る場 ②会員相互のビジネスやスキル向上に役立つ場 ③地域貢献・社会貢献の場(後輩の支援やそのための情報提供や資金援助)。今回の会は重心の置き方に若干の偏りはあるもののこの3つを見事に具現化していました。何よりも特記すべきは50年前に在籍していた大先輩から卒業間もない若い世代までおおよそ100名の同窓生と在籍者が一堂に介したことです。おそらく、昭和薬科大学の研究室の中で主宰者が変わっても研究室単位で同窓会が活動しているのは薬剤学のみではないでしょうか。一代限りの会は結構聞きます。私の所属した生化学研究室も2000年に会が初めて開かれて以降、その後の呼びかけは聞きません。

50年前の松本光雄先生の赴任は大学院修士課程設立のためでした。私も経験がありますが、大学院や学部の学科を新設する場合は資格を満たす教員を揃えて文科省(当時は文部省)に申請する必要があります。時には資格なしと判定される教員もいるようです。以前の職場で論文数のほぼ同じ教員候補2名で学科の新設を申請したところ、一人は問題なし、今一人は基準を満たさずということで却下され、慌てて教員の再募集を行なったと聞いたことがあります。却下は珍しいことで教員の資格は大学設置基準や大学院設置基準に定められていますので、多くの大学はこの基準を満たす教員を揃えるということが申請の前提になっています。そんな経緯があって、松本先生は昭和薬科大学に赴任され、50年の歳月が経過したわけです。その後、今日に至るまで多くの学生と教員を指導され、学問のみならず研究室の継続性を重要視されてきたわけです。大学に対する熱い想いを感じることが出来ます。この熱い想いが学生を引きつけ学問の高評価へと繋がるわけです。無論、今回の記念事業の成功は宇都口教授を初めとし、講演会や祝賀会で司会を務められた野村鉄也先生や小泉直也先生などの現役のスタッフの努力があったことはいうまでもありません。この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。同時に、他の伝統ある研究室もこのような会を設けることを推奨したいと考えます。継続性が伝統を生み人を惹きつけ、良い仕事や研究へと繋がり、社会への貢献度が増すことになります。因みに私が若い頃10年ばかり過ごした教室は現在5代目の教授のもと3年前に100周年を迎えました。各界で活躍する同窓生を生み、その活躍はキラ星のごとくであると評されました。伝統の大切さが実感できる場であったと現在でも感謝しています。薬剤学研究室の講演会・祝賀会では同じような感覚に身を浸すことができました。薬剤学研究室は次の50年を目指せという大先輩の暖かい支援の言葉がありましたが、多くの学生や教員・研究者に素晴らしい場所を提供し続けてくれると確信しています。最後に、やはり偉いのは松本先生で、月並みですが先生のご健康と益々のご活躍を祈念いたします。

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