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会報121号の「昭薬ミニミニクイズ」

市中肺炎の治療薬

丹那さん、ツマ子さん夫婦の友人の咳出(せきでる)さんが久しぶりに訪ねてきました。
関出さんは80歳になる父親と同居していますが、その父親が先日肺炎になって大変だったと言います。肺炎にはいろいろなタイプがあると医師から言われたそうです。

丹那さん:お父さん大変だったね。肺炎だったんだろう?

ツマ子さん:私達は、新型コロナウイルスに罹ったかと心配していたのよ。

関出さん:いやいや、新型コロナ感染を心配したのだが、それは大丈夫だったのだが、肺炎にもいろいろあってね、親父のは市中肺炎と言われたよ。細菌感染による肺炎だったよ。

旦那さん:まだ不幸中の幸いだったけど、入院できたのかい。

関出さん:それが、それほど重症でないからと入院しないで飲み薬で治療したんだよ。

ツマ子さん:飲み薬というと抗生剤で治したの?

関出さん:そうなんだけど、親父の肺炎に使われる抗生剤は決まっているという事だったよ。

Q1;関出さんの父親は細菌性の市中肺炎でしたが、内服薬として使用される抗生剤としてどれが優先的に推奨されていますか?
①ペニシリン系・クラブラン酸配合薬
②マクロライド系
③ニューキノロン系
④ぺネム系

【答え】
A;①

文献:
成人肺炎診療ガイドライン2017

解説:
成人肺炎診療ガイドライン2017によれば、成人肺炎は市中肺炎、院内胃炎、医療・介護関連肺炎に分類できる。日常生活の中で見られる市中肺炎、入院後48時間以上経過して発生した院内肺炎、その中間当たる介護施設入居者、介護認定を受けている在宅患者に見られる医療介護肺炎となるが、市中肺炎は細菌性、非定型肺炎の鑑別必要となる。
市中肺炎の70%が65歳以の高齢者あるが、重症度判定共に細菌性・非定型の区別が治療上重要になる。重症度に関しては敗血症の有無等が問題となる。非定型・細菌性感染関しては以下の項目が検討資料なる。
①年齢歳未満、②基礎疾患ない、あるいは軽微、③頑固な咳が出る、
⑤胸部聴診上所見無い ⑤痰が無い、或いは迅速診断で原因菌が証明されない
⑥末梢白血球数が1万/μL未満ある
以上の項目の内。3項目以下の合致、又は①から⑤のうち2項目以下の合致は細菌性、
4項目以上の合致、又は①~⑤のうち、3項目以上の合致あれば非定型と診断れる。
細菌性の肺炎場合、今回のケースは内服薬の抗生剤で治療可能の為、比較敵軽症と考えられる。細菌性肺炎の場合、原則として肺炎球菌を考慮し抗菌薬の選択を行う。非定型肺炎場合はマクロライド系薬剤選択される。肺炎球菌には代表的にペニシリン系、レスピラトリー・呼吸器軽ニューキノロン薬がある。しかし、ニューキノロン系の薬剤は同薬の使用より、
肺結核の合併例では診断遅れや結核のキノロン耐性化につながりやすく、又、予後不良因子になるとも報告されている。その為、市中肺炎治療薬としては濫用は避けるべきである。
ペニシリン系はβラクタマーゼ阻害薬あるクラブラン配合薬が使用され易い。
尚、ぺネム系製剤は重症度高く、耐性菌リスク高い場合などに注射薬で使用される例多い。

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