【150号】薬剤師業務支援講座-平成塾1月講座
2015年1月12日(月・祝)13:00~14:30に町田市文化交流センター5F会議室サルビアにおいて、横浜旭中央総合病院薬剤部教育・監査部長 三上二郎氏による「改正薬剤師法への対応」と題する講義が行われた。
改正薬剤師法の特徴は従来の「情報提供義務」から「情報提供及び指導業務」に変更されたことである。この変更は平成26年6月12日から施行される。医師法ではその第23条として「医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない」とされており、業として『指導』が含まれている。
医療法は昭和23年(1848年)に制定された。これは医療機関の量的整備を図り、医療水準を確保するために制定されたものである。医療法における医療の担い手、つまり医療者は『医師、歯科医師、看護婦、その他』と表現されていたが、平成4年に行われた第二次医療法改正では、医療の担い手として『医師、歯科医師、薬剤師、看護婦、その他』と改正され、薬剤師が医療の担い手として追記された。
改正薬剤師法では第25条の2(情報の提供及び指導)で「調剤したときは患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない」と『薬学的知見に基づく指導』を行うよう求められた。
『薬学的知見に基づく指導』の具体的な中身として、参照されるのが医薬食品局総務課長及び安全対策課長の連名通知(薬食総発0529第2号・薬食安発0529第2号平成25年5月29日)「医薬品服用中の自動車運転等の禁止等に関する患者への説明について」と題する通知がある。通知の内容は「添付文書の使用上の注意に自動車運転等の禁止等の記載がある医薬品を処方又は調剤する際は、医師又は薬剤師からの患者に対する注意喚起の説明を徹底させる」ことと云うものである。
この通知を受けて、愛媛大学医学部附属病院では、次の手立てを講じている。
「関係各位
愛媛大学医学部附属病院薬剤部 調剤室
薬剤師法改正に伴う外来院内患者への薬学的指導及び自動車運転等の禁止等の記載がある薬剤の注意喚起開始のお知らせ
薬剤師法改正、医薬食品局総務課長・安全対策課長通知に伴い、院内処方の外来患者に対して情報提供及び必要な薬学的指導、自動車運転等の禁止等の記載がある薬剤についての注意喚起の説明(別紙参照)を薬剤部調剤室窓口にて6月12日より開始致しました。
開始から2週間程度経過してからのご報告となってしまいましたが、当院におけます取り組みに関しまして情報提供させて頂きます。
以前は、「情報の提供」の範囲としては、副作用で眠気を催す薬を交付する場合を例に取ると「眠くなるので注意して下さい」と云っておけば、まあ十分だろうと考えることが可能だった。
改正後は「情報の提供及び指導」なので、それでは足りないケースが出てくる。
例)仕事で車を運転している人に「眠くなるので気を付けて下さい」以外にすることは
1)患者の状況把握
2)薬の変更が必要であれば医師に紹介し、処方変更する
3)服用時間の変更
4)その他の必要事項
等の具体的な対応を指導することが求められる。
副作用の説明についても、今後は初期症状の説明に加えて
*対処法
*副作用回避のための服用方法
*相互作用や禁忌の回避方法
等が加わるかもしれない。
また、日病薬の見解として「必要な薬学的知見に基づく指導の進め方」(平成26年5月24日 一般社団法人日本病院薬剤師会)として
「調剤がなされた場合には調剤した薬剤の適正使用のために従来の情報提供義務に加え、『薬学的知見に基づいて必要な指導を行うことを義務化したものと回せられる』
等々の具体的な内容を含めて、分かり易く解説した。