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第103号

薬剤師業務支援講座を開催して

独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 薬剤科長 前田和俊先生

学術部 米倉 徹
日時:2012年7月1日(日)
   13時30分~16時30分
場所:昭薬会館5階会議室

今年度の本講座は、通信講座のテーマである精神神経疾患を取り上げ、4回シリーズで八つの疾患について皆さんと勉強して行くことに致しました。

そこで今回は、シリーズに先立ち精神神経疾患全般についての内容をと、以前より精神科の服薬指導を率先して行ってこられたと覗っていた、独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 薬剤科長の前田和俊先生(写真)にお願いしました。当日は「精神神経疾患患者の服薬指導に携わってきた経験から」と題した、ご自分の指導歴に沿った講義内容で、先生の20年来行ってこられた、臨床現場での薬剤師活動についての話をお聞きすることが出来ました。

先生は昭和55年に東邦大学薬学部を卒業後、病院薬剤師として国立病院に就職され、そして昭和63年より服薬指導を開始されていますが、この内、精神科の領域に関しては国立病院4施設の現場で、多くの経験を積まれて現在に至っておられます。

その講義内容は、精神疾患の分類に始まり、精神科病棟の現状、そして治療薬の解説へと進められました。特に薬についての部分については、精神科薬の効果的な使用方法の指導や、副作用に対する薬剤師の関わり方を中心としたより具体的な内容でした。また、病棟での薬剤師の役割についての部分では、実際に先生が勤務された国立病院機構東京医療センターの診療状況等が、病棟の設備も含めて紹介されました。そこからは、精神神経疾患領域の診断のむずかしさが多くの医療者の目を、いわゆる多職種の多角的視点による評価を必要としていることで、病棟薬剤師の一日の仕事内容は薬の管理だけでなく、回診、カンファランスへの参加といった医師を始めとする他のスッタフとの関わりがかなりの部分を占めていることが分かりました。そして先生が実際に担当した患者の症例報告や経験談も交えて話していただけたことから、薬剤師としての考え方や動き方が目で見える内容でした。

さらにうつ病を例に挙げ、うつ病患者への対応の一つとして、治療とは区別された「反論の習慣づけ」「認知の修正と評価」「選択より決定」等のカウンセリング手法を通じてうつ病からの脱却を図る方法についても、薬剤師として認識しておくべきこととして話をしていただきました。

まとめとして、精神科の医療も一方的な医師の経験的治療から、エビデンス重視、チーム医療による対応へと変わってきていることから、薬剤師も活動の場が広がり、きちんとした意見が求められるようになって来ていることを話され、講義は終了しました。
この後、質疑の時間が設けられ「疾病について」「投薬方法について」「保険調剤薬局薬剤師の対応について」等の質問がフロアーより出され、先生の回答をいただきました。

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