【75号】第5回 平成塾 スクーリング
午後の部は「潰瘍治療の流れと残された課題-H.pyloriからNSAIDの時代へ-」の演題で田辺 聡先生(北里大学医学部消化器内科准教授・北里大学東病院副院長)の講演が行われた。1.消化性潰瘍とは、2.H.pyloriと除菌療法、3.消化性潰瘍治療の歴史と現状、4.消化性潰瘍の今後の歴史の4つの区分と、潰瘍の概念『胃液に直接さらされる部位、すなわち、食道下部、胃・十二指腸球部(時にその遠位)、外科的胃吻合部小腸、Meckel憩室*などに発生する限局性の鋭利な境界をもつ組織欠損。」。欠損の深さは少なくとも粘膜筋板を超える。
*「原因不明の消化管出血」の説明。
消化性潰瘍の酸分泌では高酸である。そのため空腹時に痛みが出る。胃・十二指腸潰瘍は病態生理学的には十二指腸潰瘍に似る。胃潰瘍は正酸であるが、口側に発生する潰瘍は低酸である。
ピロリ菌の発見と治療法の確立、更には内視鏡による治療・手術の実施により、潰瘍の治療は前進したが、低用量アスピリンの投与による消化管出血の増加、NSAID投与による潰瘍の増加等薬剤性潰瘍の増加が見られており、低用量アスピリン及びNSAIDを投与する際には、潰瘍防御の目的で適応が認められているプロトンポンプ阻害剤を併用すべきである。
その他、極少数であるが、難治性の潰瘍もあり、治療抵抗性である等の話がされた。