2023年度 第3回 悪性腫瘍の病態生理と薬物療法

問題１　胃癌の説明として、誤っているのはどれか

a) 胃粘膜に発生するb) 胃粘膜筋層に発生するc) リンパ節転移が見られることがあるd) 腹膜経由の転移が見られることがある

問題２　胃癌の説明として、誤っているのはどれか

a) 日本は欧米よりも罹患率は低いが食生活の変化から特に近年増加傾向にあるb) 長期間のHelicobacter pylori持続感染から慢性委縮性胃炎さらに胃癌を発症する、という経過をたどることが多いc) 早期胃癌では特有の自覚症状、身体症状はあまりないd) 進行胃癌では貧血、嘔吐、吐血、腸閉塞症状、腹水、黄疸等がみられる

問題３　胃癌の病態についての説明のうち、正しいのはどれか

a) 腺上皮から発生する腺癌が95％を占めるb) ボルマン分類は胃癌の病理学的分類法であるc) 進行胃癌では全身倦怠感が顕著であるd) 初期症状として胃痛がある場合がある

問題４　胃癌の成因について、誤っているのはどれか

a) ピロリ菌b) 熱い飲み物c) パピローマウイルスd) ニトロソ化合物

問題５　胃癌の疫学の説明として、誤っているのはどれか

a) 胃癌の発生率は最も高いb) 胃癌の死亡率は肺癌に次いで2位であるc) 胃癌は男性よりも女性に多く見られるd) 我が国での胃癌の頻度は欧米に比べかなり高い

問題６　胃癌の説明として、正しいのはどれか

a) 内視鏡診断は早期癌の発見に威力を発揮するb) 高齢者での手術は80歳が上限であるc) 外科的切除はリンパ節郭清が中心となるd) 術後の化学療法の効果はほとんどない

問題７　胃癌の治療について、誤っているのはどれか

a) 治療法選択は臨床病期診断に基づいて判断されるので、正確な病期診断が必要であるb) 臨床病期ステージI~IIIであれば、内視鏡あるいは手術によって腫瘍を切除することで治癒が期待できるc) ステージII、IIIに対しては手術後の補助化学療法が標準治療であるd) 放射線治療についても明確な根拠があり、日本では標準治療となっている

問題８　胃癌の化学療法の説明として、誤っているのはどれか

a) 術前での5-FUなどの代謝拮抗薬による延命効果を期待できるb) HER2陰性腫瘍ではニボルマブを中心とした化学療法が推奨されるc) HER2陽性腫瘍ではトラスツズマブを中心とした化学療法が標準となっているd) 切除不能で再発MMR-H腫瘍にはPD-L1阻害剤が効果的である

問題９　高齢な胃癌患者の治療について、誤っているのはどれか

a) CDDP投与時の腎機能の保持に細心の注意を払うb) 尿量不足にはマンニトール投与が効果的であるc) 治療成績の向上には進行度を正確に評価することが必須であるd) 安静、保温、水分／栄養補給及び対症療法が重要である

問題10　食道癌について、誤っているのはどれか

a) 食道に発生する上皮性悪性腫瘍であるb) 他臓器発生で食道への転移がんも含めるc) 周辺臓器からの浸潤がんを含めないd) 初期症状はない

問題11　食道癌の病態について、誤っているのはどれか

a) 飲酒、喫煙、熱い食物嗜好が主な成因であるb) 食べ物を飲み込んだ際の違和感は腫瘍増大と関係しているc) ステージ分類は治療法の決定には利用されないd) 転移は腫瘍が食道壁を貫通して起こる

問題12　食道癌の症状および診断について、誤っているのはどれか

a) 粘膜下層癌では食後に食道の部分でひっかかりやしみる感じを自覚することがあるb) 進行癌では食事の通過障害や胸の痛みなどの症状がみられるc) 食道癌の早期診断に内視鏡検査は適さないd) 食道癌の進行度診断は主に内視鏡検査、CT検査、PET検査により行われる

問題13　食道癌の治療について、誤っているのはどれか

a) 内視鏡的治療は早期癌の標準治療法となっているb) 延命を目的とした化学療法が採用されているc) 外科治療はIII期以下の根絶治療法であるd) 術前化学療法としてFP療法が標準治療となっている

問題14　大腸癌の早期症状として、正しいのはどれか

a) 無症状b) 血便c) 便秘・下痢d) 腹痛

問題15　大腸癌について、誤っているのはどれか

a) 粘膜に発生するb) 粘膜中にある癌細胞から転移が始まるc) 粘膜下層にとどまる場合を早期癌と呼ぶd) 進行癌は固有筋層より深部に浸潤した癌を指す

問題16　大腸癌の病期分類の指標について、誤っているのはどれか

a) 大腸壁への浸潤度b) リンパ節転移c) 骨髄転移d) 肝臓・肺への転移

問題17　大腸癌の病態・症状について、誤っているのはどれか

a) 大腸癌の多くは遺伝性大腸癌であるb) リンチ症候群と家族性大腸腺腫症は遺伝性に大腸癌を生じる代表的な病態であるc) 大腸癌の多くは無症状であるが、発生部位により症状が異なるd) 血行性転移のなかで肝転移と肺転移は頻度が高い

問題18　大腸癌の診断について、誤っているのはどれか

a) 典型的な症状は血便、腹痛、便通異常(便秘、下痢など)であるb) 診断の gold standard はCT検査であるc) 腫瘍マーカー CEA、CA19-9は転移・再発の指標および治療効果の判定基準となるd) 進行度診断のためにCT検査が広く行われる

問題19　大腸癌の診断について、誤っているのはどれか

a) 便潜血反応はがん検診に用いられるb) 大腸内視鏡検査の最大の利点は直接観察できることであるc) 大腸内視鏡検査で切除できるケースがあるd) 注腸造影検査ではほとんど全ての腫瘍を造影可能である

問題20　大腸癌の治療について、誤っているのはどれか

a) 内視鏡適応外ステージ０〜IIIでは手術治療が優先b) 転移・再発が二つ以上の臓器に渡る場合でも手術治療が選択されるc) 術後補助化学療法はステージIVの転移癌縮小を目的とするd) 術後補助化学療法はステージII以下の転移のない患者には用いない

問題21　大腸癌の治療について、誤っているのはどれか

a) 全身化学療法は根治的手術治療が不可能な場合に適応されるb) KRAS遺伝子変異がある腫瘍の場合は抗EGFR抗体薬が有効であるc) MMR欠損腫瘍に対しては植物アルカロイド（イリノテカン）が有効であるd) 切除不能な進行再発腫瘍に対して1次から5次までの治療法が推奨されている

問題22　大腸癌の治療方針として、誤っているのはどれか

a) 粘膜下層への軽度浸潤までにとどまる病変は内視鏡的切除が行われるb) 標準手術はリンパ節郭清を伴う腸管切除であるc) 腹腔鏡下手術は低侵襲手術として推奨され、術者の経験、技量を考慮せずに適応を決定することができるd) 大腸癌終末期におけるQOL向上のための緩和医療として、疼痛緩和、外科治療、薬物療法、放射線療法、精神症状に対するカウンセリングが行われる

問題１　次の肝癌の説明のうち、誤っているのはどれか

a) 肝細胞癌は肝癌の90％以上を占めるb) 肝細胞癌の発生には肝臓の慢性的な炎症や肝硬変が関係するc) 本邦での原因はB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染が大半を占めるd) 欧米では非ウイルス性脂肪肝が原因の大半を占める

問題２　次の肝癌についての説明のうち、正しいのはどれか

a) 肝細胞由来の悪性腫瘍のみを肝癌と呼ぶb) 脂肪肝炎とは脂肪が過剰にたまった肝臓が炎症を起こしている状態を指すc) 転移性肝癌の治療は原発性肝癌の治療法に準じるd) 肝癌の再発は多くの場合、肺やリンパ節などで見られる

問題３　次の肝癌についての説明のうち、誤っているのはどれか

a) 肝癌の原因の60%はC型肝炎ウイルスの持続感染であるb) 肝癌の原因の15%はB型肝炎ウイルスの持続感染であるc) C型肝炎ウイルス感染者からウイルスを除去すれば肝癌には移行しないd) 肝臓は症状が出にくい上、悪性化に時間が掛かるため高齢者に多く見られる

問題４　肝癌の診断について、誤っているのはどれか

a) 早期診断のために超音波検査やCT・MRIなどの画像検査が必須であるb) 腫瘍マーカーとしてAFP、PIVKA-II、AFP-L3があり補助診断として有用であるc) 動脈血流低下と門脈血流増加が典型的な肝細胞癌の特徴であるd) 肝内胆管癌が疑われる場合は他臓器の腺癌からの肝転移との鑑別診断のために消化管内視鏡検査を行う

問題５　次の肝癌の診断についての説明のうち、誤っているのはどれか

a) AFPやPIVKA-IIなどの腫瘍マーカーが使用されるb) 超音波検査やCT、MRIなどの画像診断を用いるc) 悪性度野判断や原発か転移かの判断に針生検を行うことがあるd) 腫瘍マーカーの髙値あるいは画像診断の結果から判定する

問題６　次の肝癌の治療についての説明のうち、誤っているのはどれか

a) 1次治療は病期による標準治療を施行するb) 生体肝移植は肝機能が機能していない患者が対象となるc) 焼灼療法は肝機能が残存し腫瘍径が3cm以内の腫瘍が対象となるd) 手術療法は肝外転移がなく肝機能が残存し腫瘍径が3cmを超える腫瘍が対象となる

問題７　次の肝癌の治療についての説明のうち、誤っているのはどれか

a) 肝動脈閉塞療法はがん細胞に対して兵糧攻めの方法であるb) 肝動脈閉塞療法では正常な肝細胞へのダメージを考慮した施術が必要であるc) 肝動脈閉塞療法のうち、肝動脈に抗がん剤と閉塞を行う治療があるd) 手術やラジオ波焼灼療法が難しいケースでも、肝動脈塞栓術は可能なことがある

問題８　次の肝癌の治療についての説明のうち、誤っているのはどれか

a) 全身化学療法の対象となるのはChild-Pugh分類でAの場合のみであるb) 肝切除などの局所療法が適応とならない肝細胞癌が全身化学療法の対象となるc) 全身化学療法に用いる薬剤として分子標的薬が選択されることが多いd) 全身化学療法に用いる分子標的薬はリン酸化酵素阻害剤が多い

問題９　次のChild-Pugh分類の説明のうち、誤っているのはどれか

a) 肝臓の障害度を表す指標であるb) 肝臓の予備能が正常能に比べてどれくらい残っているかという重症度分類であるc) Child-Pugh分類ではAからCへと進むにつれて、肝障害が重症化するd) Child-Pugh分類では5つの項目について点数化し合計点が低いほど重篤である

問題10　次の治療アルゴリズム(教科書 829頁 図1)の説明として、誤っているのはどれか

a) 分子標的薬の治療対象は Child-Pugh 分類Bの症例が対象であるb) Child-Pugh 分類A/Bで肝外転移/脈管侵襲なし、結節が3個以内、3cmを超える場合は、可能なら肝切除、困難な場合は肝動脈化学塞栓療法を考慮するc) Child-Pugh 分類A/Bで肝外転移/脈管侵襲なし、腫瘍数が4個以上の場合、肝動脈化学塞栓療法が第1選択であるd) Child-Pugh 分類C、65歳以下で、腫瘍径3cm以下かつ腫瘍数3個以内または5cm以下単発の場合(ミラノ基準)、移植が考慮される

問題11　次の胆嚢癌の説明のうち、誤っているのはどれか

a) 胆嚢癌は胆嚢および肝外胆管が悪性化することにより生じるb) 患者の50-60％は胆石症を併発しているc) 60歳台に多く発生し、やや女性に多いd) 黄疸は進行してから見られる

問題12　次の胆管癌の説明のうち、誤っているのはどれか

a) 早期には自覚症状がなく、早期発見は困難であるb) 腫瘍により胆管が詰まり、胆汁が血中へ逆流するc) 70-80歳台の高齢者に多いd) 黄疸の原因はビリルビンであり、尿は黄褐色、便は白色を呈する

問題13　次の胆道癌の説明のうち、誤っているのはどれか

a) 黄疸や白色便などの症状で胆道癌の疑いがある場合、血液検査を行うb) 黄疸で胆道癌の疑いがある場合、腹部超音波検査を行うc) 腫瘍の進行度はCTなどの画像診断で判定し、内視鏡検査は必要ないd) 診断後には黄疸を改善させる処置（減黄術）が必要である

問題14　次の黄疸の確認について、誤っているのはどれか

a) 観察部位は眼瞼結膜で行うb) 手掌の黄色は柑橘類や黄色野菜の過剰摂取でみられるので黄疸と間違えやすいc) 柑皮症では粘膜の黄染がみられないd) 血清ビリルビンが2.0mg/dL以上になると黄疸と認識できる

問題15　次の胆道癌の治療についての説明のうち、誤っているのはどれか

a) 治療方針の決定に病期分類は重要な役割を果たしているb) 外科療法（切除）は完治が期待できる治療方法であるc) ステージI、IIの場合は外科療法（切除）が第1選択となるd) ステージIII、IVa患者では切除不能の場合のみ、免疫療法が選択される

問題16　次の膵癌の治療方針について、誤っているのはどれか

a) 膵癌治療は手術治療などによる生存期間の延長と疼痛や黄疸などの膵癌症状に対する対症療法によりQOL向上が目的であるb) 治療方針の決定のために膵癌と他の膵腫瘍との鑑別はきわめて重要で、診断の第1選択として超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)が推奨されるc) 腫瘤が小さく慢性膵炎との診断が困難である場合、2~3か月ごとにEUS検査で追跡観察するd) 化学療法は有害事象がひどくても、病態が改善するまで継続する

問題17　次の膵癌の説明のうち、誤っているのはどれか

a) 湿潤性膵管癌を指すb) 診断後は予後良好であるc) ステージI〜IIIの場合は外科療法（切除）が選択されるd) 患者の多くは60歳以上であり、高齢者に多い癌である

問題18　次の膵癌の説明のうち、正しいのはどれか

a) 最近の画像診断の進歩により早期発見は飛躍的に改善しつつあるb) 罹患数は死亡数のほぼ3倍程度で、予後は改善しているc) 切除例を併せた 5年生存率は 50％と中程度であるd) 約80％以上が切除不能症例である