2022年度 シリーズ3 まず習得したい！呼吸器・胸部疾患の病態生理と薬物療法

問題１　COPD（慢性閉塞性肺疾患）の病態について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）肺の過膨張と完全に可逆的ではない気流閉塞を特徴とする。ｂ）COPDの三大症状は、労作時息切れ、慢性の咳嗽、肺からの出血である。ｃ）病初期では無症状であることも多く、進行性ではないことが特徴。ｄ）COPDは、肺気腫病変優位型と末梢気道病変優位型があるが、両者の分布は完全に二峰性である。

問題２　COPDの症状について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）呼吸困難の症状は、病初期から激しく顕著にみられる。ｂ）重症度と密接な関係がある症状は労作性呼吸困難である。ｃ）粘液の過分泌はすべての患者にみられる特異的なものである。ｄ）加齢や風邪として見過ごされることはまれである。

問題３　COPDの薬物療法に関する説明として、誤っているのはどれか。１つ選べ。

ａ）薬物療法はCOPD患者の症状およびQOLの改善、増悪の予防に有用である。ｂ）薬物療法では、気管支拡張薬、吸入ステロイド薬、喀痰調整薬などが用いられる。ｃ）作用機序が異なるものの多剤併用は、副作用と効果のバランスから好ましい。ｄ）SAMA（短時間作用性抗コリン薬）とSABA（短時間作用性β2刺激薬）は併用されることがない。

問題４　消抗コリン薬について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）抗コリン薬は、気道平滑筋のM3 受容体に対するアセチルコリンの結合を阻害して気管支収縮抑制作用を発現する。ｂ）常用量の使用でも全身性の副作用は大きな問題となる。ｃ）LAMA（長時間作用性抗コリン薬）は、持続した呼吸機能改善効果によりCOPD患者の症状を改善するが、増悪を予防することはない。ｄ）LAMAは、M3 受容体からの解離が速いため作用が24時間以上持続する。

問題５　β2 刺激薬について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）SABA は SAMA に比べて効果発現までの時間が速やかで、なおかつ気管支拡張反応も優れている。ｂ）プロカテロールは、吸入剤も経口剤も LABA（長時間作用性β2刺激薬）に分類される。ｃ）副作用として心悸亢進、震戦などがある。ｄ）副作用の出現しやすさは、吸入剤＞貼付剤＞経口剤。

問題６　LAMA・LABA 配合薬の使用について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）それぞれの単剤を併用する場合より、アドヒアランスは確実に低下する。ｂ）それぞれの単剤治療と比較して、副作用の頻度が高まるという報告はない。ｃ）それぞれの単剤で増量した場合と比較して、副作用のリスクは低下するが効果は確実に低下する。ｄ）それぞれの単剤で増量した場合と比較して、作用機序・作用時間が異なるため単剤を増量する方が効果と副作用のリスクは確実に高まる。

問題７　メチルキサンチンに関する説明として、誤っているのはどれか。１つ選べ。

ａ）安定期のCOPDの管理には、徐放性のテオフィリン経口薬が用いられる。ｂ）非特異的なホスホジエステラーゼ阻害作用により細胞内のcAMP濃度を増加させ気管支平滑筋を弛緩させる。ｃ）有効血中濃度と中毒濃度が接近しているため、過剰投与には注意する。ｄ）中毒症状としては、消化器症状や意識障害をおこすことがあるが横紋筋融解症や高血糖症は報告されていない。

問題８　喀痰調整薬に関する説明として、誤っているのはどれか。１つ選べ。

ａ）去痰薬は、COPD の増悪の頻度を減少させるとの報告がある。ｂ）フドステインは痰の主成分であるムチンを分泌する杯細胞の過形成抑制作用を有する。ｃ）アンブロキソールは、粘膜潤滑薬・肺サーファクタント産生促進薬に分類されている。ｄ）ブロムヘキシンは、アンブロキソールの活性代謝物である。

問題９　吸入薬について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）吸入薬の効果はアドヒアランスに左右されない。ｂ）1つのデバイスで３剤の治療を完結できるのは利点とはいえない。ｃ）ICS・LAMA・LABA 配合薬には、テリルジーやビレーズトリがある。ｄ）LAMAは短時間作用性抗コリン薬のことである。

問題10　禁煙補助薬について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）禁煙は、COPDの増悪を減少させるが生命予後は改善しない。ｂ）バレニクリンは、ニコチン性アセチルコリン受容体の部分作動薬であり、中枢性に作用してニコチン離脱症状を緩和する。ｃ）ニコチネルは経口薬である。ｄ）コーヒーや炭酸飲料を飲んだ後にニコチンガムを使用するとニコチンが吸収されやすくなる。

問題１　気管支喘息について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）気管支喘息は気道の慢性炎症を本態とする。ｂ）アスピリン喘息や運動誘発喘息は喘息には含まれない。ｃ）喘息による死亡者数は近年増加傾向にある。ｄ）喘息の発症に、危険因子である個体因子と環境因子が相互に影響することはない。

問題２　気管支喘息の病型の説明として、誤っているのはどれか。１つ選べ。

ａ）喘息の病型には、アトピー型と非アトピー型がある。ｂ）アトピー型と非アトピー型に、気道の炎症や気道過敏性の程度の差異はない。ｃ）小児の喘息は基本的にアトピー型で治療しやすい。ｄ）成人の喘息は非アトピー型で治療しやすく予後が良い。

問題３　気管支喘息の治療の説明として、誤っているのはどれか。１つ選べ。

ａ）喘息増悪因子の除去は喘息の長期管理にとって重要である。ｂ）喘息の薬物治療には、喘息症状を長期的に改善維持していく「長期管理」と発作時に行う「発作治療」がある。ｃ）治療は、喘息重症度の分類に基づいて段階的に行うことが推奨されている。ｄ）治療が奏功して良好な状態が持続しているときには、現在の治療ステップをダウンさせてはいけない。

問題４　ステロイド薬について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）喘息の長期管理薬として用いるステロイド薬の基本は経口剤である。ｂ）経口剤は吸入剤に比べ副作用が少ない。ｃ）喘息発症後 早期に ICS（吸入ステロイド薬）を開始することで喘息の急性増悪回数を減少させることができる。ｄ）ICS は吸入するため全身性の副作用が非常に多い。

問題５　喘息治療の抗アレルギー薬について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）抗アレルギー薬は、Ⅰ型アレルギー反応関与するケミカルメディエーターの産生阻害作用や受容体拮抗作用等により抗炎症作用を示す。ｂ）ロイコトリエン受容体拮抗作用は、気管支拡張と気道炎症抑制作用を有するが、アスピリン喘息や運動誘発喘息には無効である。ｃ）プランルカストは、肥満細胞の脱顆粒を抑制することによってケミカルメディエーターの遊離を抑制する。ｄ）モンテルカストは、ヒスタミン H1 拮抗薬である。

問題６　喘息治療の抗アレルギー薬について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）アゼラスチンは、、ヒスタミン H1 拮抗薬であり、ロイコトリエンの産生と遊離を抑制する作用は示さない。ｂ）アゼラスチンは、血小板凝集作用を有するので抗凝血薬との併用により出血傾向が増強される。ｃ）スプラタストトシル酸塩は、トロンボキサンA2 阻害薬である。ｄ）スプラタストトシル酸塩は、IL-4 や IL-5 等の Th2 サイトカインの産生を抑制することで IgE 抗体の産生を抑制する。

問題７　テオフィリン製剤について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）テオフィリン製剤は長期管理薬として用いられるが、発作時に使用されることはない。ｂ）気管支平滑筋を弛緩させる以外にも、サイトカイン産生抑制等による抗炎症作用を示す。ｃ）乳幼児では成人に比べてクリアランスは変動しにくい。ｄ）β2 刺激薬に相加的な効果を示すことはない。

問題８　吸入剤の SABA（短時間作用性抗β2刺激薬）の使用について、誤っているのはどれか。１つ選べ。

ａ）SABAは、pMDI（加圧式定量噴霧式吸入器）で1回1～2噴霧を吸入する。ｂ）発作が治まらなければ必要に応じて反復するが、1時間まで20分おきに吸入を繰り返しても効果が不十分であれば医療機関を受診する。ｃ）頓用回数の増加は、コントロールの悪化ではない。ｄ）連用により気道過敏性の悪化、気道炎症の増悪、喘息症状の増悪の可能性があるため頓用が原則である。

問題９　アドレナリン（ボスミン）の説明として、誤っているのはどれか。１つ選べ。

ａ）副交感神経のアセチルコリン受容体に作用し、気管支平滑筋に弛緩作用を示す。ｂ）気管支を拡張させて呼吸量を増加させる。ｃ）喘息では、肥満細胞から抗原誘発性の炎症性物質が遊離することを抑制し気管支分泌を減少させ、粘膜の充血を減らす効果もある。ｄ）重大な副作用として、肺気腫、呼吸困難、心停止がある。

問題10　SAMA（短時間作用性抗コリン薬）の使用について、正しいのはどれか。１つ選べ。

ａ）SAMA は、コントローラーとして吸入で用いる。ｂ）SAMA は、気管支平滑筋の M3 受容体に対するアセチルコリンの結合を促進して気管支収縮抑制作用を発現する。ｃ）β2 刺激薬との併用は好ましくない。ｄ）閉塞隅角緑内障や前立腺肥大症患者ヘの投与は禁忌である。