2021年度 もっと知りたかった代謝性疾患と心臓・血管系疾患及び内分泌系疾患の薬物療法

問題1 脂質異常症の病態説明として、誤っているのはどれか。

a）初期の多くの場合はほとんど症状を現さない。b）動脈硬化性疾患の危険因子と虚血性心疾患の発症のしやすさは無関係である。c）慢性的になると高コレステロール血症ではアキレス腱肥厚、眼瞼黄色腫、胆石症がみられる。d）高TG血症では急性膵炎、脂肪肝がみられる。

問題2 脂質異常症の分類説明として、誤っているのはどれか。

a）遺伝子異常によるものは原発性高脂血症に分類される。b）WHO表現型分類ではリポタンパクの増加状態により I ～ V型に分類される。c）症状として動脈硬化性疾患とそれ以外の疾患に分類される。d）原因不明なものは続発性高脂血症に分類される。

問題3 動脈硬化性疾患に関する検査の説明として、誤っているのはどれか。

a）動脈硬化の検査としてCAVI、エコー、CT、MRI、血管造影等を行う。b）CAVI検査では動脈の硬さ、動脈の詰まり、血管年齢が測定できる。c）IMTは頸動脈の内膜中膜複合体の厚さのことで、超音波検査にて評価する。d）内膜中膜複合体の厚さは頸動脈の動脈硬化の進行と比例して薄くなる。

問題4 脂質異常症の食事療法について、正しいのはどれか。

a）食生活の是正は患者のにとり生活習慣改善の根幹をなしている。b）食事療法では栄養素配分の適正化は必要だが、接種エネルギー量は考慮する必要がない。c）動脈硬化性疾患予防ガイドラインによる第1段階でのコレステロール1日接種量の適正値は300mg以上である。d）食事療法にはアルコール摂取制限は含まれない。

問題5 脂質異常症の薬物療法の説明として、誤っているのはどれか。

a）薬剤の選択には既往症など患者の背景も加味される。b）高コレステロール血症にはスタチン系薬剤、高TG血症にはフィブラート系薬剤がベースとなる。c）単剤で効果が不十分な場合には機序の異なる薬剤を併用すると効果が得られやすい。d）脂質異常症の薬物療法をうけていれば、肥満、過食、糖尿病等がある場合でもそれらの治療は必要ない。

問題6 スタチン系薬剤に関する説明として、誤っているのはどれか。

a）スタチン系薬剤はHMG-CoA還元酵素を競合的に阻害する。b）HMG-CoA還元酵素はコレステロール生合成系の律速酵素である。c）肝のLDL受容体活性が増強されると血中LDL濃度は増加する。d）重篤な副作用は横紋筋融解症・ミオパシー・肝機能障害・血小板減少等である。

問題7 異化排泄薬に関する説明として、誤っているのはどれか。

a）プロブコールは異化排泄薬とよばれる。b）TCの低下はコレステロールの胆汁中への異化排泄促進作用である。c）LDL-C低下作用のみならずHDL-Cも低下するが有害でないとされる。d）副作用としてQT延長がみられることがあるが横紋筋融解症は報告されていない。

問題8 コレスチラミンに関する説明として、誤っているのはどれか。

a）コレスチラミンは陰イオン交換樹脂である。b）陰イオン交換樹脂は吸収されず腸管内のみに留まるため安全性は高い。c）陰イオン交換樹脂は消化官で胆汁酸を吸着することにより胆汁酸の腸肝循環を阻害する。その結果として血中LDL取り込みが亢進しTCが減少する。d）副作用では消化器症状が少ない．TGの上昇をきたすこともある。

問題9 小腸コレステロールトランスポーターについて、誤っているのはどれか。

a）小腸細胞壁に存在し、結合したコレステロールを体内に取り込む。b）小腸コレステロールトランスポーターに結合したコレステロールは肝臓に輸送される。c）エゼチミブは小腸コレステロールトランスポーター阻害薬とよばれる。d）エゼチミブは小腸のNPC1Lに結合し、コレステロール輸送を促進する。

問題10 エゼチミブ投与について、正しいのはどれか。

a）小腸から肝臓へのコレステロール取り込みが増加する。b）肝臓中コレステロール含量が低下しVLDL分泌が低下する。c）肝臓におけるLDL受容体発現が増加することにより血中LDL-Cの取り込みが減少する。d）一般的に食前服用である。

問題11 高コレステロール血症治療薬モノクローナル抗体製剤の説明で、誤っているのはどれか。

a）エボロクマブ、アリロクマブはヒト抗PCSK9モノクローナル抗体製剤。b）PCSK9（プロタンパク転換酵素サブチリシン／ケキシン9型）というタンパクは肝臓のLDL受容体を分解しない。c）4週または2周間に1回日か投与する注射薬。d）使用は心血管イベントの発現リスクが高くかつスタチンで効果不十分な場合に限られる。

問題12 高トリグリセリド血症治療薬について、誤っているのはどれか。

a）フィブラート系薬剤、ニコチン酸製剤、ω3製剤である。b）フィブラート系薬剤はTG低下作用が強く高トリグリセリド血症のスタンダード薬である。c）ニコチン酸製剤はLPL活性を上昇させTG分解を促進する。d）ω3製剤は吸収量を増大させるため食時の30分前に服用する。