近年、乳がんの治療薬は内分泌療法薬に加え、殺細胞性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など多岐にわたります。今回は、乳がんの内分泌療法として薬局で取り扱う機会の多い経口抗がん薬を中心に、薬剤師が注意すべき
副作用について説明させていただきます。特に、内分泌療法薬については治療継続が再発を抑えるために重要であり、副作用の早期発見や早期介入が治療の継続やアドヒアランス向上につながります。そのため、外来患者が多い乳がん領域は薬局薬剤師の先生方が関与できる機会が多い分野となっています。
　その他、経口抗がん薬としてCDK4/6阻害薬等の経口抗がん薬は近年処方頻度が増えており、どのような患者に処方され、どのような注意点があるか、今一度確認していただければと思います。
　今回の講演を通して、先生方の今後の業務に役立てていただければ幸いです。

2013年3月　昭和薬科大学薬学部卒業
2013年4月～2020年3月　東海大学八王子病院薬剤科勤務
2020年4月～現在　東海大学医学部付属病院薬剤部薬剤科勤務

「所属学会」
臨床腫瘍薬学会
日本医療薬学会
日本病院薬剤師会

「認定資格」
外来がん治療認定薬剤師

　近年の免疫チェックポイント阻害剤等の新薬の登場により消化管がん領域のおけるがん薬物療法の治療体系が大きく変貌した。食道癌領域ではKEYNOTE-590試験やCheckMate-648試験により1次治療から免疫チェックポイント阻害剤が使用可能となった。また胃癌領域でもCheckMate-649試験、ATTRACTION-4試験によって1次治療より免疫チェックポイント阻害剤の使用が可能となった。一方、大腸癌の領域ではMSI-H/dMMRを有する約3％の患者でのみ免疫チェックポイント阻害剤に有効でなく、大部分のMSS/pMMRの患者には免疫チェックポイント阻害剤に対する奏功割合はほぼ0％である。それゆえ大腸癌患者で1次療法に免疫チェックポイント阻害剤を用いられる患者は非常に限定的である。大腸癌患者治療の最近のトピックスとしてはPARADIGM試験の結果によりRAS野生型の左側原発進行再発大腸癌ではBevacizumabなどの血管新生阻害剤ではなく、抗EGFR抗体薬を1次療法にすることが標準治療として認識されたことである。
　本講演ではこれら食道癌、胃癌、大腸癌における最近の話題や免疫チェックポイント阻害剤における有害事象に関して講演する。

1993(平成5)年3月　東邦大学医学部医学科卒業
1993(平成5)年4月　東邦大学大学院医学研究科博士課程(内科系内科学専攻)入学
1993(平成5)年5月　第87回医師国家試験合格(医籍登録番号第358554号)
1997(平成9)年5月　博士(医学)(東邦大学甲第216号)
1998(平成10)年6月　休職:米国 NIEHSにPost-doctora Research Fellowとして留学
2000(平成12)年10月　東邦大学医学部内科学第1講座研究生
2004(平成16)年2月　東邦大学医学部付属大森病院消化器センター(消化器内科)病院助手
2005(平成17)年6月　東邦大学医学部内科学講座(大森)消化器内科助手
2007(平成19)年11月　東邦大学医学部卒後臨床研修/生涯教育センター助教移籍
(がんプロフェッショナル養成支援担当)
2010(平成22)年7月　東邦大学教育・研究支援センター助教配置換
(がんプロフェッショナル養成支援室長)
2011(平成23)年2月　東邦大学医学部教育開発室助教配置換
(がんプロフェッショナル養成支援室長兼務)
2011(平成23)年10月　東邦大学医学部教育開発室講師
2017(平成29)年4月　東法大学医学部内科学講座(大森)消化器内科講師
2020(令和2)年11月　東邦大学医療センター大森病院外来化学療法センター部長
2021(令和3)年7月　東邦大学医学部臨床腫瘍学講座移籍
東邦大学医療センター大森病院がんセンター副部長
2021(令和3)年12月　東邦大学医学部臨床腫瘍学講座　准教授