今後、日本の医療は大きな変革期を迎えることになる。政策医療としては人口動態の高齢化に伴って、地域の特性に応じた地域医療構想が進められている。
　薬剤師の職域には幾つかの業態があるが、病院（診療所）の薬剤師は新卒入職者数が減少傾向にある。地域医療構想を円滑に実施するために、薬物治療管理の専門家として薬剤師が行うべきことは、病院及び薬局間で適切に連携する必要がある。具体的には調剤・製剤、医薬品管理、医薬品情報管理等に加えて患者の薬物治療管理をシームレスに対応できる体制の構築である。医薬品情報管理は地域全体で共有し、患者に不利益なく適正な薬物治療を提供できる体制の構築が求められる。病院内では薬剤師が多職種連携を効果的に実施することで、薬物治療管理を的確に行って、院外に向けては地域連携を効果的に対応することで診療報酬上の評価も得ている。
　現在、薬剤師の不足・偏在が取り上げられている。2024年度から開始される第8次医療計画には「薬剤師確保策の策定」が明記された。都道府県では今後の医療・介護提供について患者視点に立った体制が構築され、地域の病院・診療所の医師、看護師に加えて薬剤師も適正数配置の医療計画が要求される。そして、適切な病棟薬剤業務を展開してこそ、病院間連携、病院・薬局間連携が機能すると考える。

松久哲章（まつひさ　てつあき）
昭和61年3月 昭和薬科大学薬学科卒業
同年4月～平成8年4月 国立病院四国がんセンターほか2施設　勤務
平成8年9月～平成12年9月 厚生省薬務局、医薬品機構　出向
平成12年10月　四国がんセンター薬剤科　帰任（調剤主任）
平成14年1月　治験管理室　併任（治験主任）
　　19年4月　薬剤科　副薬剤科長　昇任
　　　　　　　治験管理室　室長補佐　兼任
　　21年1月　がん研究振興財団助成による海外研修（２週間）
　　　　　　　米国ﾃｷｻｽ州ﾒﾃﾞｨｶﾙｾﾝﾀｰ主にMDｱﾝﾀﾞｰｿﾝがんｾﾝﾀｰ
　　24年4月　国立病院機構山口宇部医療ｾﾝﾀｰ　薬剤科長　昇任
　　27年4月　同施設薬剤部長昇任、中国四国グループ薬事専門職併任
　　28年4月　国立病院機構岩国医療センター　薬剤部長　配置換
令和2年4月　国立病院機構呉医療センター　薬剤部長　配置換
　　4年4月　日本病院薬剤師会　事務局長　再就職　（現在に至る）
○最近の主な研究・業務等
　・がん領域におけるチーム医療の推進
　　レジメン作成の関与から管理、抗がん剤の調製（曝露対策）、薬剤管理指導、
　　禁煙指導、保険薬局との連携（薬薬連携、地域連携）、など
　・医療安全の推進（インシデントの解析と危険予知、対策検討・実行・検証）
○所属学会等（No.）：
日本病院薬剤師会（032102）　日本医療薬学会（1697）
日本臨床腫瘍学会（06-0788）　日本臨床腫瘍薬学会（10A450）
日本乳癌学会（14857）　　　　日本禁煙学会（2719）
抗がん剤曝露対策協議会
○認定等：
・日本病院薬剤師会；認定指導薬剤師（2017年2月、第081-0268-2号）
　　　　　　　　　がん薬物療法認定薬剤師（2019年10月、更新08-0180-03号）
・日本医療薬学会；がん指導薬剤師（2020年1月、更新20-15-0001号）
　　　　　　　　　代議員（2023年3月、5期目）
・日本薬剤師研修センター；
認定実務実習指導薬剤師（2022年4月、更新2回第08102209号）
・日本禁煙学会；専門薬剤師（2021年4月、更新2回第2719号）
・日本臨床腫瘍学会；協議員（2022年3月～2026年3月、1期目）