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会長短信

ハラスメント

最近のニュースや報道を見聞きしているとハラスメント関連の出来事が眼につきます。特にスポーツ関係の分野が多いと感じるのは、マスコミが此処ぞとばかりに取り上げるからという単純な話ではないと思います。最近の構図では、当事者が全く意識しておらず周りが何を騒いでいるかが理解できないと言ったことから始まっているようです。「相手のためを思ってやっている」「良かれと思っているのに何を騒ぐんだ」という反論めいた論調が第一声であったりしています。これは「ハラスメント」という概念を全く理解していない証拠であり、加えて「昔は普通に許された」とか「私も先輩から同じように扱われて、今日がある」という確信犯的な言動まで飛び出しています。私が勤務していた職場では約7年前に「ハラスメントの防止に関する規程」が制定されて、講習会が頻繁に開かれ、その防止の周知徹底が図られました。「パワハラ」「セクハラ」「アカハラ」などと略されますが、さらに昨年、「改正男女雇用均等法及び改正育児・介護休業法」が施行され、「マタハラ」と「パタハラ」が加わりました。同時に職場のみならず宴会や出張先での出来事も業務遂行中と判断されることとなり、ハラスメント防止に関する環境整備が進んでいます。その背景にはアカハラを始めとしてあらゆるハラスメントが起こりやすい環境にあることも一因となっています。「ハラスメント」と感じるかどうかは人それぞれであり、規程にも「適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為等」とありますが、適正な範囲の定義が難しいのです。医療の現場では「訴えが結構ある」と聞いています。職務上の地位ばかりでなく、人間関係や専門知識・経験の優位性があれば加害者となり得ます。優しさを込めて発した言葉でも相手が適正な範囲を超えていると感じれば「ハラスメント」は成立します。最近のマスコミの餌食となっている方々はご高齢な方が多く、「ハラスメント」の本質を理解していないように見受けられます。相手の許容度を見極めることは非常に難しいので、「ハラスメント」はいつでもどこでも起こり得ることと理解しておくことが肝要です。ある大学関係者の「今の若者を指導するのに昔のやり方は通用しませんよ」という発言が妙に印象的でした。

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