【72号】学生の質低下って?

2011/07/20会長短信

文部科学省の「薬学系人材養成の在り方に関する検討会」(座長=永井良三・東京大学大学院医学系研究科教授)は、2011.6.27.の会合で、薬科大・薬学部の学生の質の低下への対応策について議論した。文科省の調査によると、薬学教育6年制が導入されて以降、志願者倍率(定員に対する入学者数)の低下、6年制学科の5年次進級率などから、学生の質低下が明確になっている。このため、この日の会合では薬学生の質低下を解決するための方策について話し合われたが結論が出ず、検討会の下に設置するフォローアップワーキング・グループ(WG)で解決策を検討することを決めたという。

文科省の資料によると2007年の入学者数12,578人に対し5年生に進級した学生は9,828人で、2,751人が留年などにより進級できなかった。また、今春の薬科大の志願者倍率は6.5倍、実質倍率は2.7倍、入学定員充足率は97.6%で何れも昨春より若干改善されたものの、依然として薬科大・薬学部の人気が低落している実態が明らかにされたという[日刊薬業,2011.06.28.]。

6年制になれば薬剤師の世界はバラ色に変わるなどというほど脳天気にはなれない立場からすると、6年制の導入と同時に、薬科大学を無闇に増やしたことが問題の第一である。

少子化という避けて通れない難問が目の前にあるにも拘わらず、我も我もと薬科大学・薬学部を作った。それらの学校のそれぞれが、定員の充足を図ろうとすれば、入学を認める学生の質は低下する。最も、基本的なところが理解できていれば、大学での教育によって質の向上は図れると思うが、それさえ理解できないという体たらくでは、質を引き上げることは難しい。その意味では、学生の質の低下の原因は、申請された学校を片っ端から許可した文科省に、その責任の一端はあるということである。質の低下の理由は分かっている。それを会議で検討したいというのは、責任逃れではないのか。

更にいえば、優秀な学生を集めるためには、卒業後の薬剤師の行く末に輝く未来が予測できなければ、集まらない。6年制を終了すれば、未来は明るいという希望的な意見を述べる方もお出でになるが、6年かけて卒業しても医師になれる訳ではない。薬剤師は飽く迄薬剤師で、医師に無断で患者に触ることは出来ない。果たしてそのような世界に優秀な人材が集まるのかどうか。最も優秀の程度を何処に置くかで、その判断は違ってくる。

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