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2019/04/08同窓会報

ミニミニクイズ 小児に処方されたビタミン剤

保育園児の美民(びたみ)ちゃん(3才)母子が小児科から帰る途中に旦那さんとツマ子さんと出会いました。母親は不眠傾向にある美民ちゃんに出ていた薬が思いがけなかったと言います。その事で母親と夫婦が話をしています。

お母さん:うちの美民は寝つきが悪く、夜にぐっすり眠れないのです。

旦那さん:美民ちゃんくらいの子供でもそんな事があるのかなあ?

お母さん:私達夫婦の勤めの関係でどうしても夜遅くなりがちな生活をしているせいかもしれません。

ツマ子さん:今日は小児科の先生に相談に行って、子供の不眠症にいいお薬を出して貰おうと思ったらビタミン剤だったのですね。

旦那さん:確かに大人に出されるような不眠症の薬を飲ませるのも怖いよね。

お母さん:でも、ビタミン剤で寝つきがよくなるのかとちょっと不思議なきもします。

ツマ子さん:これで眠れるようになるのかしら?何かに関係して出されているのでしょう?

今回の処方
ピドキサール錠10mg 1日1回夕食後服用 30日分

Q1:ピドキサールは不眠の場合に関連がる薬剤は以下のどれですか?
1. ルネスタ
2. カロナール
3. ロゼレム
4. ペリアクチン

A1:3. ロゼレム

文献:太陽ファルマ学術部私信
薬物治療学 改訂第7版 吉尾 隆 睡眠障害(不眠・ナレコレプシー)
P604-613(2018)

解説:入眠障害、途中覚醒、夜泣き等の症状を訴えて、小児の夜間の睡眠障害で小児科を受診する例は時折見受けられる。Mちゃんの様に、家庭環境もあり、一概に原因を特定出来ず、又、成人の使用するような薬剤をそのまま使用するのをためらうケースも多く、薬物療法は難しい分野である。今回処方されているピドキサール錠はビタミンB6製剤のピリドキサールリン酸エステル水和物製剤である。剤型は10mg、20mg、30mg錠があり、散剤は製造中止された為今回は錠剤10mgで処方されたのであろう。

本来、ピリドキサール錠の薬効は口角炎・口唇炎・舌炎・口内炎、湿疹・皮膚炎、神経炎等のビタミンB6不足症状の改善、又ビタミンB6の需要が拡大している妊婦・授乳婦、消耗性疾患患者、ビタミン他にB6依存症(VB6反応性貧血など)、ビタミンB6欠乏症の予防・治療等となっている。今回、睡眠障害にビタミンB6製剤が処方されたのは睡眠に関与するホルモン・メラトニンに関係する為である。

メラトニンは脳の松果体から分泌され、生体リズムを調節するが、夕方から分泌され、性腺を抑制し、睡眠の為に体温を低下させる働きがある。体内ではアミノ酸のトリプトファンからセロトニン、セロトニンからメラトニンは合成される。最終的にメラトニンが合成される為にはビタミンB群、Mg、鉄、S-アデノシンメチオニン、BH4(ビオプテリン)ビタミンC、間接的にはATP等多くのものが関与する。

又、メラトニンの吸収にはビタミンB6が必要であり、メラトニンを服用するとそのビタミンB6が減少すると言われている。

メラトニン不足の場合には睡眠障害ガイドラインの様にメラトニン受容体アゴニストのラメルテオン(ロゼレム)を処方すればいいのだが、成人にしか適応が無い。
今回ビタミンB6製剤のピドキサールが処方されたのはメラトニン合成の基になるセロトニン合成に必要なものだからであろう。

尚、栄養環境もあり、腸内細菌叢のバランスが悪いとビタミンB群の産生が影響を受ける可能性があるので食事も注意する。

尚、ピドキサールの投与量は成人の場合、10~60mgを1~3回に分けて投与する。

小児の場合は特に新生児、乳幼児への投与は少量から徐々に増量する事になっており、ビタミンB6不足の依存症であっても同様である。新生児、乳幼児に大量に用いた場合は、横紋筋融解症、下痢、嘔吐、肝機能異常等の副作用が現れる事もある。

今回、10mg錠は錠剤が服用出来ない場合には粉砕もやむを得ないが、光によって色調変化(淡紅色)をする場合があり、遮光袋に入れる等の注意も必要である。又、好き嫌いなく食べる事も大切です。

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