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2018/11/07同窓会報

ミニミニクイズ <ダニ減感作療法の舌下錠を受けたい患者さん>

丹那さんとツマ子さんが友人のアレルギー性鼻炎に悩む会社員の寛作さん(50歳)の話をしています。

丹那さん:寛作さんはダニアレルギーの為に年がら年中、鼻炎を起こしていたね。

ツマ子さん:アレルギーを治療するのに減感作療法というのがあるのですってね。

丹那さん:そのダニ感作療法を受けたいと耳鼻科を受診したけれど、結局、その時にはその療法を受けなかったと言っていたね。

ツマ子さん:何でも内科から出ているお薬の為にその減感作療法は見合わせたらしいの。

丹那さん:へー、どんな薬がいけなかったのだろうね。

問題:寛作さんは内科から以下の薬を処方されています。減感作療法が受けられなかったのはどの薬が処方された為でしょうか?
①ニューロタン 25mg
②セロケン 20mg
③ヘルベッサーR 100mg
④ネキシウム 20mg

解答:②

文献:日鼻誌 52(4)2013 p26~27 p36~37
  :アレルギー57(2)p79~85(2008)

解説:アレルギー性鼻炎の治療として舌下免疫療法が注目されるようになった。

アレルゲン免疫療法はアレルギー性鼻炎の症状の改善を図り、抗アレルギー薬等、薬剤使用量を減らす事が出来る。その上に効果が持続して自然経過の改善が期待出来、又、喘息等、他のアレルギー疾患の発症や新たなアレルゲンに対する感作を予防する可能性もある事が報告されている。従来から皮下投与による減感作療法は行われてきた。しかし現在、通院等の煩わしさもあり、注射時の痛みもない舌下免疫療法が段々普及してきている。

今回寛作さんが受けようと思ったダニの舌下感作療法に使用される薬剤としてアシテア、ミテイキュア舌下錠がある。その1つ、アシテア舌下錠はヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ等のダニの抗原エキスを含み、舌下に投与して徐々にアレルゲンとしてのダニに対してアレルギー反応を減少させていく療法である。ダニが主体のハウスダストによるアレルギー性鼻炎の改善が期待できる。

しかし、皮下注射による減感作療法ではないが、微量とは言え、アレルゲンを体内に入れる為にアレルギー反応が起こる場合があり、ショック、アナフィラキシーが絶無とは言えない。元来、アレルギー反応は肥満細胞からのヒスタミン等の遊離と共に副交感神経末端からのアセチルコリン分泌が大きく関与する、副交感神経優位の疾患と捉えられる。

ショック、アナフィラキシーに対しては交感神経伝達物質であるアドレナリンを投与する。

しかし、メトプラノロール(セロケン)、プロプラノロール(インデラル)の様なβブロッカー(特にこれらは心臓選択制ではなく、非選択性)が処方されている場合には交感神経を抑制する為、副交感有意反応のショック、アナフィラキシー等を助長する。
(心臓選択制のβブロッカーであっても、ショックの誘引となる場合もある)

又、βブロッカーはショック時の治療に投与されるアドレナリンの効果を減弱してしまう。

逆に三環形抗うつ薬、MAO阻害薬を投与した時はアドレナリン(モノアミン)の効果が増強されてしまう。

寛作さんは処方上から、高血圧、狭心症と考えられ、その治療も大切である。耳鼻科の医師はβブロッカーのセロケンの投与も大事だと考えて今回のダニ舌下錠による減感作療法を行わなかったのであろう。

尚、舌下免疫療法(減感作療法)を行う為にはそれを行う為の十分な知識・経験を持つ医師のみが処方・使用可能である。その為には医師は適正使用に関する講習等をe‐ラーニングで受け受講終了登録をする。保険薬局は処方箋を受けた場合は医師の登録を確認して薬剤を患者に提供できる。又、第1回目の舌下錠投与は安全確認の為に医師の下で行う事となっている。
尚、アシテアダニ舌下錠は従来投与可能は12歳以上であったが、2018年2月からは5才以上は投与可能と変更されている。

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