会報114号の「昭薬ミニミニクイズ」の答えはコチラ

2018/03/19同窓会報

ミニミニクイズ 難治性慢性咳嗽の治療

或る日、旦那さんとツマ子さんが、訪れてきた友人の関さんと話をしています。

旦那さん:関さんは随分長い間、咳に悩まされているのだが、呼吸器科で診察を受けたら、先生から慢性咳嗽と診断されたそうだよ。

ツマ子さん:あら、慢性咳嗽って、咳が止まらないのでしょう。喘息や慢性気管支炎とはちがうのかしら?

関さん:初めはちょっとした風邪を引いたのがきっかけだったのですが、それからずっと咳がでているのですよ。先生からは咳の感受性が亢進して難治性の慢性の咳と言われました。

旦那さん:胃酸の出過ぎや花粉症でも咳が出るそうだけど、そういう事もなく、特に喘息の素因はないと言われたそうだよ。

関さん:こうした症状には麻薬や何とかいう、てんかんの薬も使われることもあるそうですが、今のところはステロイドの吸入剤を出し
②デパケン
てもらっています。

ツマ子さん:へー、てんかんの薬を咳止めに使う事もあるの?

Q1:感受性亢進による難治性慢性咳嗽の治療に用いられる薬剤としてガイドライン上に記載されているのは以下のどの薬剤ですか?
①カルバマゼピン(テグレトール)
②バルプロ酸ナトリウム(デパケン)
③ガバペンチン(ガバペン)
④レベチラセタム(イーケプラ)

Q2:非喘息性の慢性咳嗽で一定の効果が見られる外用吸入剤はどれですか?
①抗コリン薬
②ステロイド剤
③β刺激薬
④上記全部

A1:ガバペンチン(ガバペン)
A2:ステロイド剤

文献;日本呼吸器学会編:咳嗽に対するガイドライン第2版(2012)
Peter Gibson,et al ;Treatment of Unexplained Chronic Cough CHEST Guideline and
Expert Panel Report: Chest 2015.doi:10 1378
/chest.15-1496

解説:慢性的に咳が出る慢性咳嗽の原因として多くのものが挙げられている。

結核、肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、心不全、気管支拡張症等の重大な疾患からくるものの他にも、感染性の疾患としてマイコプラズマや百日咳等の感染性もある。又、逆流性食道炎や後鼻漏、花粉症からの遷延性の咳嗽も考えられる。

それらの原因が判明している疾患には適応する治療を行う事により咳は治まってくる。

しかし、原因が様々な検査をしてもよく判らない、又、複数の方法で治療を行っても状態が良くならないという難治性の慢性咳嗽(所謂UCC=Unexplained chronic Cough)も存在する。その割合は20~40%とも言われている。

そうした慢性咳嗽では咳の感受性が亢進していると考えられている。

関さんの様に初めは単なる風邪から発症した咳であっても、咳を繰り返す事により、非特異的に咳の感受性が亢進してしまい、ずっと咳が続くという機序も多く見られる。

元々の疾患が治った後でも感受性亢進の為、咳の症状だけが続いて起きる事になる。

後鼻漏や逆流性食道炎の人も全員が慢性の咳をするわけではなく、それらの疾患により咳受容体が刺激されると、感受性の高い人が咳をし、その咳が慢性化していくとされる。

咳の感受性亢進による慢性咳嗽では治療も難しいとされている。麻薬のモルヒネや神経性疼痛やてんかんに使用されるガバペンチン(ガバペン)が有効とも言われるが、ガイドライン上ではガバペンチン(ガバペン)が推奨されている。オーストラリア・ニューカッスル大学の研究ではガバペンチン(ガバペン)投与群、非投与群に分けて10週間の治療を行い、Leicester咳嗽質問票スコアで評価し、有用性を認めている。

難治性咳嗽は中枢性感作に関連する神経因性疼痛との類似点が認められており、神経因性疼痛にはガバペンチン(ガバペン)が有効とされている。同じ慢性疼痛治療薬のプレガバリン(リリカ)も考えられるがまだ報告は少ない。難治性の慢性咳嗽には亢進した咳嗽反射に対する治療も必要とされている。

又、咳喘息や喘息でない慢性咳嗽においても、長期間の咳によって気道の好中球性・好酸球性炎症、気道のリモデリング、呼吸機能の低下が出現する事が報告されている。

これらの非喘息性慢性咳嗽に対しても吸入ステロイド薬が一定の効果を示す事が報告されている。炎症や気道のリモデリングに対する効果と考えられる。

その他、麦門冬湯、半夏厚朴湯、清肺湯、小青竜湯等の漢方薬も症状に応じて処方されている。

 

こんな服薬指導を

特に原因がなくても慢性に咳が出て治りにくい場合は、咳の感受性が亢進していると言われています。こうした症状には確かに麻薬性の物やガバペンチンという抗てんかん薬も使われます。難治性の咳は脳の中枢性神経に関連するので、神経に作用のある薬剤が効果的なのでしょう。今日出ているステロイド剤は難治性の咳にも効果を示すと言われています。

ページのトップへ戻る