昭薬ミニミニクイズの解答

2015/03/16同窓会報

ミニミニクイズ H27/2/10 結核患者さんに処方された高尿酸血症治療薬

或る日、旦那さんとツマ子さんが、友人の手辺(てべ・TB)さんのお父さんが結核の再発を診断されたことについて話し合っています。

ツマ子さん:この間、保険薬局で手辺さんにお会いしたんだけれど、手辺さんのお父さんの処方箋をもってきたところだったのよ。

旦那さん:お父さんは70過ぎだから、いろいろ調子の悪いところもあるんだろう?

ツマ子さん:実は若い時にかかった事のある結核が再発したらしく手辺さんも心配していたわ。

旦那さん:それは大変だなあ。入院しなくてもいいのかい?

ツマ子さん:幸い、排菌していなかったので、娘の手辺さん夫婦が面倒を見て自宅で療養ということになったそうよ。結核のお薬も出して貰っているんだけど他の薬が気になると手辺さんは言うんだけど。

旦那さん:どんな薬が処方されているんだね。

ツマ子さん:それが、痛風の薬だというの。お父さんはお酒が好きで、ビールも飲んでいるそうだけど痛風とは言われているわけではないそうよ。

旦那さん:そうか、結核になると、痛風の方も悪くなって、痛風の薬が処方されているのかな?

※手辺さんのお父さんには、リファンピシン、イスコチン、エブトール、ピラマイド、ベンズブロマロン、ピリドキサールが処方されています。

Q1:ベンズブロマロンはどの薬剤との関連で処方されていますか?
①リファンピシン
②イスコチン
③エブトール
④ピラマイド

A1:③、④

文献:井上 哲郎他:PZA2ヶ月投与による高尿酸血症と関節痛についての検討
日呼吸会誌 37(2)1999 p115~118

解説:日本でもかっては死病とさえ言われた結核(特に肺結核)であるが、栄養事情、抗結核薬の開発等により近年は患者数が減少している。

しかし、高齢化に伴う免疫力の低下により結核既往歴を持った患者の再発、無理な食事制限、偏った栄養摂取等により若年者でも少ないながらも罹患する患者さんが見られている。

結核治療には安静、栄養と共に抗結核薬での治療が不可欠である。

抗結核薬には従来から使用されている、イソニアジド(INAH)、エタンブトール、リファンピシン、ピラジナミド、エチオナミド、パラアミノサリチル酸カルシウム(PAS)

注射剤としてストレプトマイシン、エンビオマイシン、カナマイシン等があり、今でもこれらの薬剤が治療の中心となって処方されている。これら薬剤の服用アドヒアランスが治療にとって最も重要事項なっており、服用方法の見守りとして直接服薬確認方法、DOTSも提唱されている。

手辺さんの父親の処方箋は、エタンブトール(エブトール)、リファンピシン(リファジン)、イソニアジド(イスコチン)、ピラジナミド(ピラマイド)の抗結核薬が記載されているが、尿酸血症、痛風治療薬のベンズブロマロン(ユリノーム)も記載されている。

これは、薬剤性の高尿酸血症を予防する為に処方されているのである。

薬剤性の高尿酸血症はフロセミド、サイアザイド系等の利尿剤、テオフィリン、シスプラチン等の抗腫瘍薬、シクロスポリン等の免疫抑制薬、サリチル酸製剤の服用で発症する可能性があり、抗結核薬は薬剤性の高尿酸症血症の原因薬と一つとされている。

抗結核薬のピラジナミド、又、エタンブトールでも尿酸値を上昇させるという報告がある。

特にピラジナミド(ピラマイド原末など)は主要代謝物のピラジン酸が腎尿細管に於ける尿酸の分泌を抑制する為に尿酸排泄が阻害され、尿酸クリアランスを低下させるためと考えられる。その為にベンズブロマロンやアロプリノールが処方されることも多い。

但し、肺結核初回標準療法に於けるピラジナミド2ヶ月間投与に於いて、痛風の素因や投与前の高尿酸血症が無く、1日量1.5g以下の2ヶ月投与であれば高尿酸血症を生じても痛風発作は起こらず、尿酸コントロール薬の併用無しでも投与期間を終了できる可能性も高いとも言われている。今回は、アルコール(特にビール)も飲んでいるという事なので一応予防の為に処方されたのであろう。

又、ピリドキシン(ピリドキサール)はイソニアジド(イスコチン)による神経障害の予防の為に処方されている。

尚、抗結核薬は公費負担があるが、ベンズブロマロン、ピリドキシンは抗結核薬ではないので、(あくまで抗結核薬による副作用の予防投与)公費負担はない。

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