薬剤師業務支援講座:「ウイルスについて」

2019/09/04お知らせ

平成塾薬剤師業務支援講座「ウイルスについて」

日時
2019年10月20日(日) 13:00~16:10 (受付12:50~)
場所
町田市文化交流センター5階 サルビア(旧ぱるるプラザ)
住所

〒194-0013 町田市原町田4丁目1番14号
電話:042-710-6611
JR横浜線「町田駅」町田ターミナル口直結
小田急線「町田駅」西口から徒歩5分

テーマ

「ウイルスについて」

講演1:インフルエンザに関する最近のトピックス
講師:田代 眞人 先生
元感染研インフルエンザウイルス研究センター

抄録を読む ▼クリックするとスクロールできます。

[インフルエンザワクチン]
現行ワクチンの安全性は高い。防御効果は100%ではないが、ハイリスク群では入院、死亡を数分の一に減らす効果は認められるので、接種すべきである。また、ハイリスク群にウイルスを感染させないために、家族や医療従事者など周囲の人はワクチン接種を受けて自身の感染防御およびウイルス排泄量を減らすように努めるべきであろう。
毎年の抗原変異ウイルスや未知の新型ウイルスにも対応できるような幅広い防御免疫を賦与できる万能ワクチン(universal vaccine)の開発研究が、欧米を中心に推進されているが、日本では研究計画はない。これが実現すれば、毎年ワクチン接種を繰り返す必要はなく、また全ての新型インフルエンザに対しても予め防御免疫を獲得することが期待される。その結果、たとえ感染を受けたとしても、感染者は不顕性か軽症に留まり、入院・死亡を大幅に減らして、医療サービス・医薬品供給への負荷を軽減することが出来よう。一方、流行の拡大も抑えられ、社会機能・経済活動への影響も大幅に抑制されると期待される。

[抗インフルエンザ薬による治療]
インフルエンザの治療は、抗炎症剤や解熱鎮痛剤などによる対象療法が一般的であったが、近年数種類の抗インフルンザ薬が開発され、特に日本では広く普及して、ハイリスク群を中心に治療がなされている。
 ①ノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル[経口、一日2回、5日間]、リレンザ[吸入剤、一日2回、5日間]、ラピアクタ[点滴静注、一回]、イナビル[経口、1回])。ウイルス感染細胞から出た仔ウイルスが細胞表面から離れるのを阻害して、感染拡大を防ぐ。発症後2日以後では効果が低下する。頻度は低いが、耐性ウイルスが出現する。
 ②ウイルスRNAポリメラーゼ阻害薬(アビガン[経口一日2回、5日間])。ウイルス遺伝子RNAの転写・複製を阻害して、ウイルスの増殖を抑える。小動物で催奇形性が懸念されたため、パンデミック(新型インフルエンザ大流行)の際に一定の条件下で使用される。
 ③Cap依存性エンドヌクレア―ゼ阻害薬(ゾフルーザ[経口、1回])。ウイルス遺伝子からmRNAへの転写を阻害して、ウイルスタンパクの合成を抑える。昨シーズンは前評判から期待されたが、A/香港型(H3N2)の約10%(小児では20%~)に耐性ウイルスが出現して伝播するので大きな問題となっている。高価格でもあり、慎重な投与が必要である。
抗インフルエンザ薬は、ハイリスク群にとっては有用な薬剤であるが、決して特効薬ではない。多くの患者では必ずしも投与の必要はなく、副作用、耐性出現、医療費の面からも過剰な使用は控えるべきである。

[鳥インフルエンザとパンデミック危機管理準備]
通常パンデミックでは、大多数の人が免疫を持たないので、高い致死率をもつ重篤な感染症の短期間に集中した大流行となる。世界全体で多くの人が同時に罹患して倒れるので、膨大な健康被害のみならず、社会機能、経済活動、社会基盤にも甚大な影響をもたらす。
スペインかぜから100年後の現在、地球人口は4倍(77億人)に増加し、航空機による高速大量輸送の普及などで生活環境は大きく変化した。今後起こる新型インフルエンザは、短期間に、世界同時に集中的な大流行を起こし、過去に見ないような膨大な健康被害が生じて、二次的に社会機能、経済活動の停滞~破綻が起こると想定される。
特に、①増大する医療の需要に応じた、医療サービスの提供や医薬品供給の確保・維持、②交通、物流や、食糧・エネルギー供給などのライフラインの維持、③国防、治安維持など、社会機能の維持、などが大きな問題となり、社会的な危機管理・危機対応の重要課題である。

[強毒型(高病原性)インフルエンザ大流行(パンデミック)への準備]
18亜型すべての鳥インフルエンザウイルスは、本来は鳥の弱毒型(低病原性)ウイルスであり、鳥では不顕性感染に留まる。従って、それから派生した全ての動物(ヒトも含む)インフルエンザウイルスも、過去のパンデミックを起こした新型インフルエンザウイルスも、全て弱毒型ウイルスであった。ヒトでの感染症は、かぜに比べて重篤ではあるが、呼吸器粘膜上皮に限局した局所感染である「インフルエンザ」という病気であった。
一方、1997年以来、主に中国・東南アジアを中心とした鳥の間で、史上最も病原性の強いH5N1やH7N9等の強毒型(高病原)鳥インフルエンザウイルスが次々に出現して流行し、鳥に全身感染を起こして膨大な家禽を殺している。更に遺伝子変異によりウイルスは多様化が進み、流行地域は中東、ヨーロッパ、アフリカまで拡大して、日本にも数回侵入した。
強毒型鳥インフルエンザ流行地では偶発的にヒトも感染を受ける。感染患者では、ウイルスは血流を介して全身感染を起こし、肺炎、脳炎や多臓器不全を起こす。妊婦では胎盤を介して胎児感染も起こる。致死率は50%を超える極めて重篤な疾患であり、弱毒型ウイルスによる「インフルエンザ」とは異なる新しい病気である。抗インフルエンザ薬の治療・予防効果は十分に検証されていないが、効果が期待されている。。
これまでに2000人弱の死亡が報告されている。人への感染源は主に家禽で、鳥との接触が危険因子である。ウイルスは未だ人から人への効率の良い伝播能力を獲得していない。
2017年に中国では、感染患者発生を抑えるために、H5N1とH7N9型の混合不活化ワクチンを全ての家禽に対して(接種率や約80%)した。その結果、中国ではこれらの鳥ウイルスの流行報告は激減し、新たな感化発生も報告されなくなった。しかしH5N1やH7N9から派生した組み換えウイルスの流行は依然報告されており、鳥インフルエンザの危機は消失していない。
しかし、鳥の間で流行が続く限り、ヒトへの偶発的な感染は増え、それに伴ってウイルス遺伝子の突然変異が蓄積するので、何時か必ず、人から人へ効率よく伝播できるような新型ウイルスに変化することになる。その結果、重篤な全身感染を起こす新型インフルエンザの大流行(パンデミック)という、人類にとって未経験の最悪のシナリオが懸念される。
高病原性インフルエンザのパンデミックが発生した際には、世界全体で1億5千万人を超える膨大な死亡者(致死率5~15%)と社会機能・経済活動の破綻・崩壊(世界恐慌)が懸念されている。国内でも、人口の35%以上が発症して重症化し、100万人以上が死亡する可能性もある。十分な事前準備がなく、ワクチンや抗インフルエンザ薬が不足する場合には、弱毒型ウイルスによる過去のパンデミックに比べて10倍もの健康被害も懸念される。

[パンデミックへの事前準備と緊急対応]
世界のどこかで新型ウイルスの出現あるいは新型インフルエンザの発生が確認された際には、新型ウイルスの性状解析と診断法の開発、ワクチンの緊急開発・大量製造・大量供給・接種体制の確保等が最初の対応となる。
流行拡大時への事前準備としては、入院を要する多数の重症患者への医療提供の確保、とくに医療スタッフの確保や医薬品の供給に加え、事務、給食・環境整備・検査などの診療機能全てを確保維持する必要がある。一方、需要が急増する薬局の機能拡張と維持と、さらに死亡増加に対応した葬儀、火葬、埋葬などの確保も必要である。
多数の人が臥床すると、彼らが担う社会機能・経済活動が著しく影響を受け、悪循環を繰り返して社会基盤の破綻から社会危機に至る。最重要課題は、①ワクチン政策と医療・医薬品サービス、②交通、物流体制、③食料供給、④電気、ガス、石油などのエネルギー供給、④救急、治安、消防、国防、⑤正確・迅速な情報提供、等の危機管理・危機対応である。
強毒性パンデミックという最悪のシナリオを想定し、これに即応できるライフラインの維持・確保のための社会インフラ整備と、緊急時に対する事前準備計画と緊急行動計画を事前に確立し、それらをいつでも実施可能に維持しておくことが不可欠である。2011年の東日本大震災発生時における「想定外」との釈明は許されない。
パンデミックに際して、企業活動をはじめ、社会機能・経済活動を破綻させないためには、予め優先順位の低い業務活動を低下・停止させ、被害程度を最小限にとどめる計画も必要となる。さらに、パンデミックが終息した後に、混乱・低下した社会活動・社会機能を回復されるための行動計画も、事前に準備しておく必要がある。
地球規模で起こるパンデミックでは、統一的なリーダーシップによる国全体および国際的な対応・協力が不可欠である。それには、法的基盤に基づくトップダウンの国家危機管理体制、国際的危機管理体制の整備・構築が必要である。
しかし、自然災害とは異なって、海外はもとより国内でも、外部からの十分な支援は期待できない。国や地方行政が全てに対して責任を持ち、十分な対策を実施できる訳ではない。普段から、地域、機関、企業団体から学校、職場、各家庭に至る各段階で、各シナリオを想定した事前準備と緊急行動計画を立て、自分たちを守るためには、最大限の自助努力で対応するとの意思と覚悟が必要である。

健康被害が特に増大する強毒型パンデミックにおいては、入院・受診を要する重症患者の多発による医療体制への過剰負荷によって、医療サービスやワクチン・医薬品の供給が破綻し、それに続いて社会機能が破綻することが大きな問題である。
これを防ぐには、多くの人に予め防御免疫を賦与しておき、これによって感染患者の発生を防ぐとともに、重症患者の多くを軽症化することで、できる限り在宅治療を可能にして、医療への負担を軽減することである。
そのためには、流行前に、流行が予測される新型候補ウイルスに基づいて準備・作製したプレパンデミックワクチンの事前接種、または、普段から21.で述べた万能ワクチン(universal vaccine)の接種をしておくことである。これらの事前接種がなされれば、ウイルスの感染を防止し、たとえウイルス感染を受けても、軽症化して在宅治療が可能となり、その結果、医療体制への負荷を減らし、社会機能の破綻を回避できる可能性がある。

元国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長

講演2:抗ウイルス薬を調剤する際のポイント
講師:添田 博 先生
東京医科大学病院薬剤部・感染制御部

ウイルスの治療薬は、抗菌薬ほどの種類はありませんが、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、肝炎ウイルスなどに対する薬剤が使用可能となっている。
対象となるウイルスによって、様々な抗ウイルス作用があるが、いずれの薬剤においても正しく使用することがウイルス感染症治療の最も重要なポイントになる。また、抗ウイルス薬には有害事象や薬物間相互作用など、注意しなければならないポイントも多くある。
今回の講演では、薬剤師として抗ウイルス薬を調剤するにあたって、また使用している患者さんをモニタリングするにあたって注意しなければならないポイントについてお話させて頂きます。

質疑応答

取得単位

一般社団法人昭薬同窓会・平成塾(G12)の発行する生涯研修単位2単位
(他の認定薬剤師認証研修機関※発行の研修単位と互換性あり)
※薬剤師認定制度認証機構(CPC)認証研修機関

受講料
2,000円
学部学生は無料(要学生証提示。但し、研修単位発行はありません)
申込方法

ゆうちょ銀行備え付けの払込取扱票でお振込み
通信欄に『10/20受講料』とご記入の上、お名前、緊急の際の連絡先を明記の上受講料2,000円をお払込みください。
当日受付でも可能ですが、準備の都合上10月18日(金)までにお申し込み下さい。

参加料振込締切
2019年10月18日(金)
※ 振替受領証は申請時に必要になりますので保存しておいてください。
※ 受講申込は受講料の振込をもって受付終了となります。
※ 10/8以降お振込の方はゆうちょ銀行からの連絡が間に合いませんので出席の旨メール又はFAXで事務局へ事前にご連絡ください。
郵便振替口座番号
00180-0-324854
加入者名

一般社団法人昭薬同窓会・平成塾

主催/お問い合わせ
一般社団法人昭薬同窓会・平成塾
町田市東玉川学園3-3138-5F
TEL 042-722-5750 FAX 042-721-1295 お問い合わせフォーム

会場地図

町田市原町田4丁目1番14号

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